男女賃金差別訴訟関連リンク

男女賃金差別をともにたたかう会

 

WWN NOW  http://wwn-net.org/

全石油昭和シェル労働組合 http://homepage3.nifty.com/showashelllaborunion/

鴨川センセの知っ特社会科―女性のためのお仕事相談室ー

http://blog.livedoor.jp/letchma11/archives/

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2016.9.25  最高裁上告 記者会見                 最高裁宛て署名運動の取り組みへ

控訴審判決は、被告東和工業に対して労基法4条違反・女性差別を認めたものの、原告本間さんの主張である職能給の支払いなどを退ける不当判決でした。女性差別を認めながら、実際には、本間さんが同じ仕事をしている男性との間に生じている賃金格差を会社の裁量権として裁判所が認めたということです。職能給の差額を認めなかった判決は、本間さんの賃金が低いのは女性ということが理由ではなく、男性よりも能力が劣っていると判断したということです。

判決に納得いかない本間さんは上告を決意し、新たな弁護団で最高裁の闘いを開始しました。2016年9月25日、上告にあたって記者会見と「男女賃金差別をともにたたかう会」の総会が持たれました。

本間さんがなぜ上告したのか。経過とその趣旨をまとめた要旨を資料として掲載します。

 

最高裁宛ての署名運動も呼びかけられています。

ご協力をお願いします。

「男女賃金差別をともにたたかう会」会報より

以下は記者会見で宮地弁護士が紹介された本間さんの「悔しい思い」

2016.4.27 金沢高裁判決!!

2016.3.18 金沢高裁 1089名の署名提出

2016.3.11 東和工業前 ビラまき、署名活動

2015.10.21 控訴審第2回口頭弁論 結審

2015.10.18 男女賃金差別をともにたたかう会 第4回総会 記念講演

2015.9.2 控訴審 第一回裁判 原告本間啓子さんが陳述

2015.9.2 名古屋高裁金沢支部で控訴審第一回裁判が行われた。原告の本間さんは、一審で女性差別を認めながら、時効を適応して10年のうちたった3年しか差額賃金を認めていないこと、職能給をゼロにしたことなどを不服とし、女性が安心して働けるために公正な判断を下して欲しいと意見陳述した。写真は、裁判終了後の記者会見。

2015.9.2  控訴審(名古屋高裁金沢支部)に傍聴を!

9月2日、名古屋高裁金沢支部において、第一回控訴審裁判が行われます。

原告の意見陳述もあります。

傍聴に駆けつけましょう。

2015年9月2日(火)午後2時 金沢高裁

   男女賃金差別裁判 労基法4条違反で原告勝訴!
          「職能給ゼロ、時効適用は不当」と原告控訴
 
 東和工業(本社は金沢市、機械設計販売会社)で設計職として働いていた本間啓子さんが、男女差別による賃金の格差を不当として会社に賠償を求めた裁判で、金沢地方裁判所は、労働基準法第4条の男女同一賃金の原則に違反していると原告勝訴判決を出しました。
 憲法や労基法では賃金差別を禁止しています。しかし、現実には全く同じ仕事をしていても、男女や正規・非正規での賃金差別が「当たり前」に横行しています。原告勝訴は当然のことですが、司法の現状を見れば「画期的」勝利です。
                     

6/20 勝利判決報告集会「控訴して闘う」


 6月20日、男女賃金差別をともにたたかう会主催で勝利判決報告集会が行われました。原告代理人の北尾美帆弁護士から判決の内容の解説と評価、原告本間さんから控訴に至った経過と決意が述べられました。また、全国からも本間さん同様に男女差別賃金訴訟を闘った元原告の仲間も駆けつけました。

 判決文では「労働基準法4条違反の不法行為における原告の損害は、原告が一般職の賃金表に基づき現に支払われていた賃金と、総合職の賃金表の適用があるとすれば原告が得られる賃金との差額であるというべきである。」として、年齢給差額(198万円)+慰謝料(100万円)等、会社側に合計約441万円の支払いを命じました。労基法4条違反を認定した判決は評価できますが、時効問題など批判が出されました。
 本間さんは、コース別制導入で一般職とされた時から、解雇の重圧を受けながらも会社側に処遇改善を要求し続けました。判決は会社側が請求した損害賠償の消滅時効の援用を認め、賃金差別を受けた10年間のうちたった3年分しか賠償されませんでした。本間さんは「到底納得できない。これでは会社は差別し得で許せない」と、控訴することを決意したと話されました。さらに、「労基法4条違反と差別を認めたにもかかわらず、職能給差額0円は矛盾している」点もあげました。
 昭和シェル元原告の大島さんは、連帯のあいさつの中で「控訴審の第一回口頭弁論で結審もあり得るので、傍聴席を満席にして裁判所に圧力をかけよう」と発言されました。第一回控訴審は9月2日14時~、名古屋高裁金沢支部。傍聴に駆けつけましょう!(中川)

2015.3.26 金沢地裁判決 男女差別を認める!  

男女の賃金格差 会社に賠償命じる 金沢地裁

3月26日 13時56分

金沢市に本社がある機械設計販売会社の元社員が男女差別による賃金の格差があったとして会社に賠償を求めた裁判で、金沢地方裁判所は「実質的に男女別の賃金が適用されていた」として、会社に対し440万円余りの支払いを命じました。
この裁判は、金沢市に本社がある機械設計販売会社「東和工業」に勤めていた本間啓子さん(63)が、入社後に女性であることを理由に一般職にさせられたうえ、総合職の男性社員と同じ仕事をしているのに賃金や退職金などが低かったとして、その差額や慰謝料など合わせておよそ2200万円の賠償を求めたものです。
会社側は「一般職にしたのは女性だからではなく能力などで判断した」と主張していました。
26日の判決で金沢地方裁判所の藤田昌宏裁判長は「会社が社員を一般職と総合職に分ける制度を始め、原告を一般職にした際、能力を検討した形跡もなく性別によって区別されていたと認めるのが相当で、実質的に男女別の賃金が適用されていた」と指摘しました。そのうえで労働基準法に違反していたとして、会社に対し時効になっていない平成20年から23年までの賃金の差額や慰謝料など、合わせて440万円を支払うよう命じました。
判決のあと、原告の本間啓子さんと弁護団が金沢市内で記者会見しました。本間さんは「主張が認められてうれしく思う。ほかの企業でも男女差別を見直すきっかけになるのでないか」と話しました。北尾美帆弁護士は「男女差別が認められたことは高く評価できるが、時効を理由に請求した額が一部しか認められなかったことは不満が残る」と話しました。
東和工業は「判決文を見ていないので、今のところコメントは差し控える」としています。


公正判決を求める署名が呼びかけられています。

            


 

各   位


男女賃金差別をともにたたかう会

共同代表  辻井 秀子

土井 由三

山本 夕起子 


公正な判決を求める要請行動について(署名のお願い)

安倍政権下で「女性が輝く社会」が声高に唱えられる一方で、各種労働法制の改悪が意図され、「正社員を無くせ」の財界の思惑が見え隠れしています。

「この道しかない」との流れをはばみ、あきらめずに何とか変えていきたいものです。今年も引き続き、ご支援よろしくお願いいたします。

さて、本間啓子さんが2011年に提訴した「男女賃金差別是正」裁判は、咋年128日、本人による最終弁論で結審いたしました。

最終弁論で本間さんは、「男女差別賃金は、一人の人間として自立して生きる権利を奪い、人間の誇りと尊厳を傷つけるものである」「女性が働く権利は人権であることを示す公正な判断を」と、静かな中にも凛として裁判所に伝えました。これにより本年326日(木)、判決を迎えることになりました。

そこで、ともにたたかう会として別添「公正判決を求める要請書」による署名行動を通して、運動の輪を広げたいと思います。いただきました署名は、裁判所に提出いたします。              


12/8 コース別男女賃金差別裁判結審(金沢地裁)へ!

 9/4 証人尋問を傍聴して
建て替えたばかりの真新しい金沢地裁。本間さんの支援者が駆けつけ、法廷は満席。本間さんの息子さんや大学時代の友人、そして元東和工業の同僚なども駆けつけており、本間さんへの信頼の厚さを感じた。
 この日に行われた証人尋問は、原告の本間啓子さんと、会社側証人として本間さんの元上司2人が証言に立ち、午前10時から昼休みを挟んで4時まで尋問が行われた。
 会社は「男性は総合職、女性は一般職」とコース別の賃金体系を導入した。これは明らかに均等法違反である。このような露骨な社内通達を出すという、会社側としては極めて重大なミスを犯した。そして本間さんは不当な差別待遇改善を求め、上司に要請していたやりとりをメモをとって記録していた。証拠としては原告が完全有利である。
 だから会社としては証人尋問で、本間さんを一般職にしたのは専門職としての能力がなかったからと主張しようとした。会社側証人は、「(原告は)一から十まで教えないと何もできない」ということを繰り返し主張した。屈辱的な暴言には傍聴している私でも腹が立ち、ヤジを堪えた位だったから、本間さんの悔しさは相当だったろう。
      テレビよりも「面白かった」尋問
 上司が作成した製図の間違いや、都合の悪い書類を意図的に隠して証拠として提出したことを指摘し、たたみ掛ける尋問はドキドキものであった。実は上司たちよりも本間さんの方が専門的知識があることが理解できた。
 本人が望んでいるのに「主婦だから」と出張に行かせない。現場には「女性が入ると山の神が怒る」と連れて行かなかった?!都合が悪くなると「記憶にございません」の答弁には、思わず傍聴席から失笑が。一緒に二級建築士の資格試験を受けようとしたが、本間さんは合格し、一方、上司は難しいと受験をあきらめた。そのことを指摘されると「(資格)は仕事に関係ない」と負け惜しみを言う。嘘をつくから証言はもたもた。尋問が終わる頃には、彼らに対する怒りはむしろ哀れさに変わった。
 最後に、北尾美帆弁護士がトドメを刺した。専門職から一般職にされたのは本間さん只ひとり。結局は「女だから」だ。傍聴者にはそうとしか思えなかった。裁判官もそう理解したと信じたい。しかし、法廷の雰囲気で判決は望めないのも現実だ。闘う運動の力こそが勝利の道である。(事務局 中川)

-参考資料 新聞記事-

 

手数料悔しい、直接雇用を…無期限派遣に不満

読売新聞 1月30日(木)15時35分配信

2014.1.29 19:02 産経ニュース
厚労省で開かれた労働者派遣法の改正を議論する労働政策審議会の部会=29日午前

厚労省で開かれた労働者派遣法の改正を議論する労働政策審議会の部会=29日午前

 労働者派遣法の改正を議論する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会は29日、現在3年となっている派遣受け入れ期間の上限を廃止し、3年ごとに働く人を入れ替えれば、企業は同じ職場で派遣を無期限に継続できるとした報告書をまとめた。

 通常国会に改正法案を提出し、平成27年4月の実施を目指す。

 正社員から派遣社員への置き換えを防ぐ目的で派遣期間に上限を設けてきた従来の原則を事実上転換。規制緩和により労働者派遣市場の活性化を図る。

 一方で、派遣労働者の処遇改善が進まなければ、低賃金で不安定な雇用が拡大する懸念もある。

派遣労働者が高齢化 4割「正社員望む」

2013.9.6 13:08家族・少子高齢化
年齢階級別でみた派遣労働者の割合

年齢階級別でみた派遣労働者の割合

 派遣労働者として働く人の中で、35~39歳が最も多いことが5日、厚生労働省が実施した平成24年の実態調査で分かった。4年前の前回調査では30~34歳が最も高く、派遣労働者が正社員にならずに年齢を重ねている実態が明らかになった。割合は最多の35~39歳が19・2%で、30~34歳が16・4%、40~44歳が15・1%と続く。平均賃金は時給1351円と前回調査(1290円)から61円上昇。賃金に対する評価は「満足していない」が派遣労働者全体の35・1%で、「満足している」の34・9%とほぼ同率だった。

 今後の働き方の希望では「派遣社員ではなく正社員として働きたい」が43・2%で、前回の40・9%を上回ったほか、15~49歳では4~5割台に上った。「派遣労働者として働きたい」は43・1%だった。調査は24年10月時点の状況について、派遣労働者約1万2千人を対象に実施。有効回答率は68・1%だった。

 

9/1 第二回総会 記念講演 竹信三恵子さん

7/18 中国電力男女賃金差別 広島高裁 原告の訴えを退ける

判決の内容と批判は以下を参照ください。

 

嶋川センセの知っ得社会科ー女性のためのお仕事相談室ー

くらしナビ・ライフスタイル:男女間賃金格差、どう判断 差別訴訟、あす控訴審判決

毎日新聞 2013年07月17日 東京朝刊

参院議員会館内で先月末開かれた、女性の労働環境改善に向けての意見交換会で、国会議員や厚生労働省、内閣府の担当者らを前に、職場の実態について話す長迫さん(中央)
参院議員会館内で先月末開かれた、女性の労働環境改善に向けての意見交換会で、国会議員や厚生労働省、内閣府の担当者らを前に、職場の実態について話す長迫さん(中央)
 

 

中国電力(広島市)で32年間勤めてきた女性が、昇進・昇格や賃金に男女差別があったとして、同社を相手取り、損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が18日、広島高裁で言い渡される。「女性の活躍推進」が政府の経済政策の柱に据えられる中、依然残る職場の男女間格差に、司法はどう答えるのか。

 

 「上司に『本当に助かっている』と言われ、営業で実績を上げても、13年間同じ職能等級に留め置かれている間に、12歳以上も年下の男性社員が私を飛び越して昇進・昇格していった。この格差は性差以外では説明できない」

中国電力出雲営業所で営業担当として働く長迫忍さん(50)は2008年、この屈辱を晴らしたいと、差別の是正を求めて広島地裁に提訴した。地裁では敗訴したが、控訴して戦い続けている。

 

 「30年以上働いても会社は『処遇が低くても仕方がない』という。それを司法が認めるなら、女性は頑張って働く意味がなくなる。男女関係なく公正に評価されなければ、安倍晋三首相の言う『女性の活用』なんて実現できない」

 

 ●昇進遅れ不平等

 会社側は訴訟で、男性の基準内賃金を100とした時、同期・同学歴・同職種で比較した女性の賃金は87・4〜84・9であるとして「格差の程度は著しいものとはいえない」と主張。「男性にも昇進の遅速による賃金差はある」と訴えた。また、1997年に実施した女性社員の意識調査で、女性の75%が「管理職になりたくない」と回答したことにも触れ、こうした意識が男女の昇進・賃金格差をもたらすのであり、差別意図に基づくとは言えないとの主張を展開した。

 

 11年3月の地裁判決は、賃金や昇格に関する男女差の存在は認めたが、長迫さんが昇格しないのは個別の人事評価の結果とする会社側の主張を認め「女性差別ではない」と訴えを退けた。だが、控訴審では新たに、長迫さんと同期・同学歴の事務系男女社員全員の賃金の推移が分かるデータが明らかにされた。

 

 原告側の分析では、係長級の手前にあたる主任1級への昇格は、男性が41歳で7割、43歳で9割に達するのに対し、女性は41歳で初めて1人昇格し、43歳でも14%に過ぎなかった。女性は昇格が早い人でも標準的な男性と同じ。大半の女性は、男性の遅い人と重なっていた。

 

中国電力の人事賃金制度について鑑定意見書を書いた聖心女子大の大槻奈巳教授は「男性の昇格は年功的な運用である一方、女性の昇格は男性の大半が昇格したあとに始まるという不平等な構造がある」と指摘する。

 

 ●管理職希望者も

 日本では、女性の管理職が少ない理由として「女性が希望しない」「昇進意欲がない」と指摘されることが少なくない。



 

ILOの21世紀の目標はディーセントワーク(人間らしい労働)ですが、

みなさんの職場状況はどうなっていますか?

現在、女性労働者の半数以上が非正規となってしまい、労働条件はもちろん賃金面では、正規でも男性の6割に過ぎません。そのことが年金受給額にも格差を生み出し、現役時代のみならず、生涯に亘って女性の自立を妨げる要因となっています。

 

一方、1985年成立した「男女雇用機会均等法」は、「コース別雇用制度」が導入され「男女別賃金表」に変わるなど、女性差別撤廃条約の理念が生かされたモノとはなっていません。

どこの職場も、人員削減が状態化し、ギリギリの状態で働かされています。

老後も安心して暮らすためには、「女性だから」の雇用・退職差別や賃金差別を解消し、同一価値労働・同一賃金、均等待遇の実現を目指さなければなりません。

 

「男性は総合職、女性は一般職」という「コース別雇用管理制」を採った会社に対し、賃金保障と慰謝料を求め裁判を起こした本間さんから、裁判の進行状況や課題をお聞きします。

それを受けて、土井さんからは人間らしく働くために各種労働法制を活用し、その基盆となっている「憲法」をどのように日常生活に生かしていくのか問題提起を受け、みんなで話し合いたいと思います。          多くのみなさんの参加をお待ちしています!

 と き:6月23日(日)10時~12時  

ところ:サンフォルテ 303号室(3F)

★内 容:「男女賃金差別裁判の進行状況と課題」

               :本間啓子さん(賃金差別裁判原告) 

人間らしく働くために憲法を生かそう!

          :土井由三さん

    元旧小杉町町長、男女賃金差別をともにたたかう会代表委員

フリートーク 

☆ 参加は無料です。

共催: 女性会議富山県本部、シャッキット富山35男女賃金差別をともにたたかう会 連絡先: 宇治谷 076(492)2057  高木 076(423)8005  山本 0766-52-3596

 

損害賠償提訴「賃金差別は均等法違反」と提訴の女性支援会へ、 明日結成シンポも毎日新聞 2012年09月14日 地方版

 男女別の賃金制度を設けた勤務先の企業を労働基準法や男女雇用機会均等法に違反するとして、賃金差額など約2200万円の損害賠償を求めて提訴した女性を支援する「男女賃金差別をともにたたかう会」の結成総会と記念シンポジウムが15日午後2時から、富山市湊入船町の県民共生センターサンフォルテで開催される。13日に県庁で支援者らと会見を開いた女性は、職場での女性差別は社会全体の問題として支援を呼びかけた。【青山郁子】

 提訴したのは富山市在住の本間啓子さん(60)。87年に「東和工業」(本社・金沢市)に入社。90年に設計部に異動し、産業機械の設計図作製などを担当している。同社は02年に雇用制度を変更して男性を総合職、女性を総合職より賃金の低い一般職とした。

 当時、設計を担当する社員は本間さんを含め7人いたが、女性の本間さんの月給は男性6人より月約6万円低くされた。本間さんは総合職への変更を繰り返し会社に要請したが、拒否されたため、昨年11月、金沢地裁に提訴した。これまでの4回の口頭弁論で会社側は、本間さんの仕事について「簡単な補助的作業」などとして全面的に争っている。

「女性は一般職」は差別 勤務先を提訴


12月12日
 男性なら総合職、女性なら一般職と分けて、男女別の賃金制度を設けたのは労働基準法や男女雇用機会均等法に違反するとして、富山市の本間啓子さんが勤務先の「東和工業」(本社・金沢市)に対し、賃金の差額や慰謝料など約1920万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴した。本間さんは12日、金沢市内で記者会見し、「露骨な差別でつらい思いをしてきた。このまま受け入れられない」と訴えた。
 提訴は先月17日。訴状によると本間さんは1987年の入社で、90年に設計部に異動し、現在まで産業機械の設計図作製などを担当。同社は2002年に雇用制度を変更して男性を総合職、女性を総合職より賃金の低い一般職とした。本間さんが、2級建築士の資格を得た01年当時、同部署には他に1人しか資格を持っていなかった。制度変更時には7人の設計職社員がいたが、本間さんだけが一般職とされた。総合職への変更を繰り返し会社に要請したが、断られたという。(12/13『毎日新聞』より) 

女性の貧困を扱った記事 あれこれ

「単身女性」の3割が貧困、「母子世帯」の就労収入は181万円:「ハウジング・リスク」を抱える人々

世帯内単身者─増え続け、30代前半では4分の1に

若い世代では、親もとに住む未婚の世帯内単身者に増大した。その割合は、1980年から2005年にかけて、25~29歳では24%から41%、30~34歳では8%から25%に増え、年齢の高い35~39歳においても3%から16%に上がった(図3)。多くの世帯内単身者の経済状態は、不安定である。

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低賃金であるがゆえに、親の家を出られない人たちが多い。親同居の未婚者は親の所得に「パラサイト」しているという見方がある。しかし、親の定退職と加齢によって、その収入は減るだろう。世帯内単身者の大半は、親の持家に住み、その居住の安定性は高い。しかし、老朽化する住宅の修復コストを負担できない世帯が増える可能性がある。

世帯内単身者の増大は、若年層の変化として注目されてきたが、その年齢は着実に上がってきている。今後は、経済力の不安定さに加え、老親の扶養・介護に関する問題状況が生じる可能性がある。(平山)

単身女性─3割が相対的貧困、6割が低所得の非正規雇用

女性のライフコース、すなわち結婚、就労、子育てなどの選択のあり方は多様化している。

晩婚・非婚化の進展により、シングル女性が急増した。女性の高学歴化や社会進出が進むなかで、職業キャリアを形成し、安定した所得を得る女性が増えた。一方で、女性労働者の約6割は、派遣社員やパート、臨時・契約社員といった不安定、かつ低所得の非正規雇用である。

とくに、ひとりで暮らすシングル女性の経済基盤は弱く、国立社会保障・人口問題研究所が2009年の国民生活基礎調査を分析した結果によると、その約3割が相対的貧困の状態におかれている

住居費は低所得のシングル女性の家計を圧迫する。2009年の全国消費実態調査によると、30歳未満の勤労単身世帯の消費支出に占める住居費の割合は、男性の21.6%に対し、女性では31.1%におよんだ。女性は男性に比べて、セキュリティの側面などから水準の高い住まいを選択せざるを得ない。

どんなに経済的に困窮しても、路上生活にいたる女性は少ない。厚生労働省が2012年に実施した調査では、路上生活者のうち女性は4.5%であった。路上生活を回避するために、旅館・ホテルや性風俗産業の従業員など、寮・住み込みの住まい付きの労働に従事するシングル女性は多い。また最近では、女性専用の低家賃のシェアハウスが都市部を中心に普及し、低所得のシングル女性の住まいの受け皿にもなっている。(川田)

母子世帯─124万世帯、5年で8%増、経済的困窮から1割以上が家賃を滞納

1970年代以降、日本においては離婚の増加が顕著である。子どものいる夫婦の離婚にともない、母子世帯の数が増大している。2011年度の全国母子世帯等調査によると、20歳未満の未婚の子と母親のみの世帯は123.8万世帯であり、2006年の115.1万世帯と比較して大きく増加した。

母子世帯を特徴づけるのは、その経済的基盤の弱さである。同調査によると、母子世帯の母親の就労収入は181万円と少なく、他の同居家族の収入等をあわせた世帯収入も223万円しかなかった。

母親ひとりでの子育てになるために、長時間の勤務ができないこと、労働市場から長期に離脱した経験があることなどの理由により、パートなどの非正規雇用を選択せざるを得ない母親が多いことがその背景にある。

低所得であることに加え、子育てと仕事の両立という課題を抱える母子世帯は、住宅問題に直面する可能性が高い。

著者らが独自に実施した調査によると、離婚後に母子世帯を形成した女性は、「公営住宅に入居できなかった」、「実家に戻りたかったが戻れなかった」、「家賃を滞納した」、「敷金や礼金、引越し費用などの一時金を用意できなかった」、「家主から入居を拒否された」などの多くの住宅問題を経験していた(図4)。

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全国母子世帯等調査によると、母子世帯の住まいでは、民間借家などが最も多く約3割を占める。一般世帯では6割以上を占める持家率も、母子世帯では約3割と低い。また、公営住宅の割合が2割と比較的高いことも特徴である。多くの自治体では、公営住宅において、母子世帯の優先入居制度を設けている。

しかし、とくに利便性の高い地域では、公営住宅の応募倍率が極めて高く、円滑に入居できない場合が多い。また、公営住宅の立地の偏在から選択肢になり得ないことも多い。

さらに、自力で住まいを確保できず、居候の状態におかれている世帯が約1割存在していることも、注意すべきである。また、母子世帯を一時的に保護する母子生活支援施設などがあるが、施設の老朽化や地域偏在などが大きな課題となっている。(川田)

 

「えっ、3人に1人!」 無視され続けた女性の貧困問題の窮状

格差があるという事実にまず寄り添おう

1/4ページ

 

 「こんなに働いているのに、ちっともラクにならないじゃないか~」

 こんな悲鳴を、誰もが一度は上げたことがあることだろう。

 だが、そんな愚痴めいた悲鳴ではなく、本当に心底、身体を酷使して働きながらも、所得が少なく生活が苦しい人、いや、苦しい女性たちが増えている。

 「単身女性、3人に1人が貧困 母子世帯は57%」といったショッキングな見出しが新聞に踊ったのは、先週のこと。国立社会保障・人口問題研究所の分析で、勤労世代(20~64歳)の単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困」であることが分かった、と報じられたのである。

 深刻な問題であるにもかかわらず、この問題を報じたのは朝日新聞だけだった(私が調べた限りではあるが……)。横並び報道が多い中、なぜこのニュースを報じたのが一紙だけだったのか、その理由は分からない。

 特ダネ? そうだったのなら、「よく報じてくれた」と思う。

 だが、実際はどうなのだろうか? こういう情報こそ、広く知らせる必要があるのに、広く報じられていないのは、なぜなのだろうか。

 少なくとも、誰それが誰を批判したとか、選挙になりそうだとか何だとかいう情報よりも、大切なことだと思うのだが、マスコミにとってはあまり価値ある情報ではなかったのだろうか……。

広がる貧困の男女格差

 いずれにしても、働く1人の日本人として、とても大切な情報だと思うので、改めて内容の詳細を紹介します。

 2007年の国民生活基礎調査を基に、国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部の阿部彩部長が相対的貧困率を分析した結果、1人暮らしの女性世帯の貧困率は、勤労世代で32%、65歳以上では52%と過半数に及んでいることが明らかになった。

 また、19歳以下の子供がいる母子世帯の貧困率は57%で、女性が家計を支える世帯に貧困が集中し、貧困者全体に女性が占める割合も57%と、1995年の集計より男女格差が広がっていた。

 相対的貧困率とは、すべての国民を所得順に並べて、真ん中の人の所得の半分(貧困線)に満たない人の割合を指す。厚生労働省では、相対的貧困率における貧困線を114万円、OECD(経済協力開発機構)の報告では、日本の貧困線は149万7500円と公表している。

 ちなみに、2009年の全世帯の平均所得金額は、549万6000円。母子家庭は177万円程度が平均年収だとされている。

 さて、これらの数字を見て、どのような感想を持つだろうか?

 「また不安をあおるようなことばかり書きやがって。日本の貧困率が高いとか何とか言ったって、携帯を持っているような人たちは貧困とは言えないんじゃないの?」

 そんなことを、正直、内心思った人もいるはずである。

女性の労働~貧困の現状と課題

朝日新聞編集委員: 竹信三恵子
【CGS Newsletter013掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

●女性の貧困の深刻化
 貧困はこれまで、男性の問題として受け止められがちだった。だが統計からは、女性の低収入ぶりが、はっきりと見えてくる。財務省の給与所得統計では、年収200万円以下の働き手は女性の4割以上にのぼる。「年収300万円時代を生き抜く経済学」といった本が数年前に売れたが、その水準を大きく下回る自活できない働き手だ。

 男性の貧困も増えてはいるものの、年収200万円以下は1割に満たない。確かに、4割の中には、世帯主男性の扶養下にあって、日々の生活には困らない女性も少なくないだろう。だが、パートナーからの暴力や離婚の激増、男性の貧困化、非婚男女の増加で、こうした従来型の「結婚による安全ネット」では、事態は解決しなくなっている。にもかかわらず、自立できる経済力を持てる女性が、ごくわずかにとどまっていることが、女性の貧困の深刻化を招いている。

 背景にあるのは、女性労働の非正規化の急速な進展だ。85年に男女雇用機会均等法が制定されて以降、女性の社会進出は進んだようにみえる。高位の女性や高賃金の女性も出てきた。だが、均等法以後に増えた働く女性の3 分の2 は、パートや派遣などの非正規労働に流れ込み、非正規労働者はいまや女性の5 割を越えている。「非正規」は例外という意味を含んでいるが、それがむしろ多数派という異様な状況だ。

 これら非正規労働者の賃金を時給換算すると、女性パートは男性正社員の40% 台で推移し続けている。これでは、週40 時間の法定労働時間働いても、年収200万円程度しか稼げないのは当然といえる。正社員主体の企業内労組が主流の日本では、パートや派遣労働者は労組の支えがなく、賃金は横ばいを続けがちだ。最低賃金すれすれの時給でボーナスも手当も昇給もないという安さに加え、短期雇用なので、次の契約を更新しなければ削減も簡単という「便利さ」が企業に受けて、90年代後半からの不況では人件費削減のため、非正規労働は、女性から、新卒者や男性、公務労働にまで及んだ。働き手の3人に1人が非正規という社会では、親や夫がいない生計維持者も非正規労働となり、生存を脅かされ続けている。「日本の貧困は女性発」といわれるゆえんだ。

● 85 年は女性の貧困元年?
 均等法はなぜ、歯止めにならなかったのだろうか。それは、「平等を求めるなら男性並みに働くべきだ」との経済界の求めに応じ、均等法が、女性保護の撤廃と引き替えに導入されたからだ。日本では、労働基準法36条の規定で、労使協定があれば事実上「青天井」の残業が可能だ。そのため、均等法前まで、女性は休日労働や10時以降の就労を禁止されていた。これは、男女分業を前提にし、育児や家事の時間を女性にだけ確保することで社会生活を持続可能なものにしようとする策だった。

 そもそも、日本の男性が、青天井で長時間労働できるのは、家庭に主婦という女性がいて、仕事以外の労働を担ってくれるからにすぎない。また、女性の低賃金を補って「妻子を扶養」するために、男性は青天井で働くことを拒めない。保護抜きの均等法は、「妻つき男性モデル」ともいえるこうした働き方を正社員の標準として改めて定式化した。おかげで、「妻」を持てない多数の女性は、出産後は正社員にはとどまれず、非正規労働者への道を歩むことになった。欧州では、雇用平等を進める過程で、男女双方の労働時間規制を強化し、両立モデルを働き方の標準とすることで女性の経済力を高めた。日本は、男女両方の労働時間規制緩和という形で「均等」を進めたことが、女性の急速な非正社員化を招いたということになる。85年は同時に、「主婦年金」といわれる第3号被保険者制度と、労働者派遣法も導入された年でもあった。第3号被保険者制度は、配偶者の扶養下にある人の保険料を免除するものだが、扶養からやっと抜け出る程度の低賃金では、保険料負担で世帯収入がむしろ減ってしまう場合がある。そのため、自主的に収入制限をするパート女性も多く、これもパートの低賃金が続く原因になった。こうした働き方は、夫の年金に頼れない女性たちを極端な低年金、または無年金に置くことになり、高齢社会の無年金女性問題というもうひとつの貧困を生む結果となった。労働者派遣法も、「均等法後は正社員の長時間労働に耐えられない女性の増加が見込まれるため、その受け皿として、パートより専門的で時給の高い仕事が必要だった」(高梨昌・信州大名誉教授)として、導入された。こちらはその後、「年越し派遣村」などに象徴される貧困のもとになった。藤原千沙・岩手大准教授は、均等法・第3号被保険者制度・労働者派遣法を、その後の女性の貧困を深刻化した3点セットとし、「85年は女性の貧困元年」と呼んでいる。

●女性の貧困はなぜ見えないのか
 こうした現実にもかかわらず、なぜ女性の貧困は見えないのか。理由は、貧困女性が声を上げることは、男性以上に難しいからだ。不安定な非正社員女性が家庭を持つと、生活できるお金を稼ぐために長時間働かねばならず、仕事の合間には性別役割分業による家事・育児もこなさなければならない。1997年に取材したシングルマザーの場合、3人の子供を抱えて離婚したが、子持ちでしかも40代の女性というだけで求人はパート労働に限られる。パートの時給は700~800円台と最低賃金すれすれのことが多い。子どもたちを育てるため、女性は、昼と夜、二つのパートを掛け持ちしてやっと年収300万円になったが、労働時間は通常の男性正社員の約1.5倍の3000時間に達していた。こんな状態では、窮状を訴える活動を起こす時間が確保できない。加えて「女性は男性が食べさせてくれるはず」という社会的な偏見がある。こうした偏見が「女性は賃金が安くても困らない」「失業しても困らない」という思い込みを招き、女性の貧困を「改善すべき重要課題」ととらえる声を抑え込む。

 もう一つが、女性に対する暴力の問題だ。貧困から路上に出る男性は目立つが、女性はほとんど見えない。路上に出たときの危険度が女性の場合、男性以上に高いため、外食チェーン店で夜を明かすなど、隠れているから、といわれる。ホームレスの現金収入の道として考案された雑誌「ビッグ・イッシュー」編集部も、女性には販売をすすめられないと言う。売っているだけでホームレスとわかる商品なので、女性の場合弱みにつけこまれて思わぬ被害にあいかねないからだ。貧困解決のカギは、それを直視して適切な対策を打つことだといわれる。女性の貧困は、男性に経済力を集中させ女性を扶養させる仕組みや、女性への暴力といった「私たちの社会があまり見たくないもの」に支えられている。だからこそ解決が難しい。だが、女性の貧困が、他の働き手の非正規化、貧困化の出発点になったことを考えれば、その転換なしでは、他の貧困は克服できない。性別や属性にかかわらず、ひとりひとりが自立できる働き方を目指した貧困解決策、雇用政策が必要なときだ。

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