連絡会ニュース52号 2014年2月

            全国に放射性廃棄物拡散の危機   これ以上汚染を広げるな!

 

 1月25日、池多で「チェルノブイリ事故から27年、離れた地でも健康被害~フクシマ後を生きるための教訓~」と題した学習会が開かれた。講師は環境ジャーナリストの青木泰さん。日本における放射能汚染拡散の危険性や、ウクライナでの内部被曝による健康被害が報告された。以下、その内容を基に、今日本がどういう状態にあり、何をしなければならないかを訴える。
         

低汚染地域での健康被害
 ウクライナの非汚染地域はさいたま市(首都圏)と同程度の線量だという。そこでもチェルノブイリ事故の影響は子や孫の世代に及んでおり、よりひどくなっている。
 空間線量が年1ミリシーベルトほどのコバリン村では、頭・足・心臓など体のあちこちの痛みや鼻血、よく風邪を引く、足が曲がりうまく歩けない、等の症状が出ていた。子どもたちに「足が痛いか」と聞くと、6~7割の子どもが手を挙げたという。痛みが出た値は1.1ベクレル。例え低線量でも、放射線被曝はガンだけではなく様々な形で深刻な健康被害をもたらすのである。今後、日本の首都圏でも深刻な事態が予想される。


  チェルノブイリを教訓化しない日本
 日本ではどうか?チェルノブイリの教訓に学ぶどころではない。まったく逆だ。国は被曝者の移住の権利を認めず、放射能汚染地帯に住み続けることを強要している。「100ベクレル以下は安全」と大嘘をついて全国に汚染食品を流通させ、日本中の人々に内部被曝を強いている。
ガレキ広域処理とは、被災地のために使われるべき復興予算を流用し、放射能汚染を全国に拡散しようとした、二重に許されない政策である。これを推進した環境省は、福島県内で比較的汚染の少ない地域である鮫川村に小型焼却炉を作り、汚染された稲わらなどを焼却して周辺環境に汚染を広げようとしていた。昨年8月に爆発事故が起きたが、環境省は「異音」とごまかしたほどだ。福島労働局に情報公開を求めたところ、102ページに渡って墨塗りされた報告書が出された。このような形で、特定秘密保護法の先取りが行われている。

 また、昨年には高濃度に放射能汚染された木材チップが琵琶湖近くで大量に不法投棄されていたことが明らかになり大問題になった。検出された数値は、滋賀県の発表でも1キロ当たり最大3000ベクレル。NPO法人『市民環境研究所』が行った測定では1万2千ベクレルだった。この件も氷山の一角に過ぎない。
自国民全てを被曝させて、健康を悪化させ後の世代までも傷つけるという世界に類のない国家的犯罪が、日本という国によって行われている。

 

 食品の安全基準を1ベクレル/kg以下に
日本の「1キロ当たり100ベクレル」という食品安全基準は、ウクライナの例を見れば、いかにとんでもない値であるか明らかだ。すぐに見直し、1ベクレル以下にしなくてはならない。放射能は僅かな量でも体内に取り入れたら危険だ。
とりわけ子どもたちへの対策が急を要する。学校給食の食材を調査し、安全なものに切り替えることが必要である。

                          
東北関東の被曝者に移住の権利を認めよ
 何よりも国に、被災地はもとより関東圏に暮らす人々が安全な地域へ移住する権利を保障させなくてはならない。そのためにも保養・避難先地域の安全確保が必要だ。安全な食材を提供すべき富山を汚染させてはならない。
東北・関東では、体調不良や突然死、子どもの甲状腺がんなど深刻な影響が現れている。だが、国は情報を隠し、嘘をつき、人々を見殺しにしている。国家の責任による一刻も早い安全な地域への移住を、全国で声を上げて実現させることが求められている。
 福島原発からは放射能が環境中に放出され続けている。事故は収束どころか、何が起きるか予断を許さない状況である。原発再稼動や輸出など論外だ。国と東電に責任を取らせよう。

 

 富山市長の住民告訴から1年が経過
全国自治体の多くはがれき広域処理を受け入れませんでしたが、一昨年、富山は手を上げました。環境省は、引き受けた自治体に交付金の支給を通知しました。被災地への復興資金を、他県にがれき処理をしたからと交付するのは、被災した側からは横取りです。
  一方、受入れ側の富山住民の不安感は大きく、池多地区住民8割が反対署名をしました。富山市長はこれを無視し、地区全体への説明会も行わず、一方的な通告で持ち込みを強行しました。その上、2ヶ月後には当日話し合いを求めた住民10数名を刑事告訴し、警察はこれを受理しました。
  通常、行政と住民のトラブルにおいては「話し合い」(民事不介入)が原則です。しかし、警察は住民を犯罪者とみなし、行政の立場に立って住民を呼び出し始めました。この1月になっても続いています。
  富山・岩手両県知事の覚書には「住民の合意」が明記されています。持ち込み強行は住民への違反行為です。更に、広域処理への復興費流用は国会や会計検査院で問題にされました。市民警察とは、市民を守る公務員のはずです。まず行政の不法と違反行為を捜査する義務が警察にあるのです。


「黙秘権」は憲法で保障された権利
憲法38条には「黙秘権」、刑事訴訟法には「警察は被疑者に予め黙秘を告げる義務」が明記されており、警察による質問や調べに「何も答えず黙る」権利が保障されています。黙秘権は、警察が客観的証拠によらず自白を誘導し犯人を作ってきた冤罪の歴史を反省して、戦後憲法に規定されたのです。我々が強い主権者意識を持ち、警察に権利を行使する事が重要です。
2002年の氷見冤罪事件では、任意の名で3日間の取り調べが行われ、精神的な疲労の中で調書を取られました。そして検察官が起訴し有罪判決。刑期が終わってから偶然真犯人が名乗り出て冤罪が発覚しました。これは非常に稀なケースで、冤罪による死刑も多いと言われます。警察トップ経験者の亀井死刑廃止議連会長は、「冤罪は必ず起こる」と断言しています。

「特定秘密保護法」を担う警察組織
  警察法には「憲法と法律を擁護し不偏不党、公平中正」規定があります。今、警察を監督する国家公安委員会の長は、安倍総理が任命した古屋大臣です。彼は日本の核武装・靖国の国家護持を唱え、人権擁護法案に反対表明しています。これは警察法違反の任命です。


「任意」拒否は主権者としての義務
  NHK会長も放送法の「政治的公平」に違反しています。国家権力の意に従う警察・マスコミの支配を許せば戦争への道です。自分で情報を確かめ、身を守る事が重要です。任意の調べが続く限り、氷見事件に続く冤罪が生み出されます。冤罪を防ぐため、「任意呼び出し拒否・黙秘権行使」は人々の義務なのです。

参考:『警察崩壊』
原田宏二(元北海道警釧路方面本部長、市民の目フォーラム代表)、旬報社刊
『世界』1月号 「秘密保護法」対談

                                     

 ◆福島からのお便り◆

 

  毎月継続して福島の仮設住宅に池多の野菜や米、日常品などを送っています。12月には池多特産のリンゴや野菜を送りました。お礼のお手紙を一部紹介します。

  何時もいつも大切に育てた野菜や果物を送っていただき私達仮設住人はありがとうの感謝の気持一杯です。手紙を出す時にはみんなの分までお礼を言ってくださいと何度も言われました。
 私たちの町は太平洋に面しているので津波に遭いましたが、私の住んでいるところは少し高台にある為、難を逃れることができました。しかし、原発事故で避難を余儀なくさせられました。
 それから三年が過ぎようとしています。この頃やっと復興住宅が着工することになりましたが、私や子供、孫達が地震によるPTSDに悩んでいる所に、高層住宅にするというのです。入居したくないと方々が七割弱がいるという現実でも、着工することになり残念でなりません。私たちは少々不便な所でも地盤がしっかりしていれば建物を一戸建てにして欲しいと要望を出していますが取り上げて頂けないようです。…私の家内の御霊はまだ埋葬することが出来ません。…そんな個々の心の傷みを東電や国の大臣の方々は知って政治をやっているのかと思っています。・・・

 

 以下、支援者の福岡百合子さんからのお便りです。

 新年にあたり、本来なら、明るい楽しいニュースをお伝えしたいのですが、今日も、福島の今の現実をお伝えさせていただきます。
 
「僕たちはとても年賀状を書く気にはならない。だけど年賀状をもらって、とても嬉しかった。気にかけてくれる人が居るって、うれしいよ!」
仮設住宅の6畳一間、4畳半二間に4人で住んでいます(母、高一男子、14歳女子、12歳男子)。だけど、4人一緒に食卓を囲むだけのスペースがありません。上の子は知的障害者です。空いている仮設があれば、と交渉してますが、見通しがありません。かといって、中古の家に移りたくてもお金がありません。復興住宅を期待しているけど、いつになるか? 家賃が安ければよいけど…。がんばります。」(その声は暗く、力ありませんでした。)
「夫が亡くなりました、妻が亡くなりました、いとこが亡くなりました、と沢山の方々から死去の知らせがあり、私は言葉に詰まる新年でした。」
 「南相馬の仮設は0.3マイクロシーベルトです。ここに子どもも住んでいます。国は“大丈夫”と言います。しかし私は国の言うことは信用していません。実際、国の大臣も議員も町の議会の人も、誰も現場に来ていません。現場も見ず、我々の声も聞かず、“平成28年4月に全員帰還にしたい”と言っています。とんでもないことです。小高は未だ線量が高い。最近まで“泊まってはならない”と言っていたのに、“12月24日~1月6日まで宿泊OK”と言った。その言葉を信じて、14日間泊まってきた人もいる。未だ除染していない小高に。そして“今年の8月頃は3ヶ月帰れるようになる”と言われているが、私はとんでもないと怒っている。荒れ果てた自宅を見てくると、皆、力を落とし、失望して帰るという。年寄りは、“仮設より良い”と言って帰りたがる。“先祖代々の家と墓を守りたい”と言って帰りたがる人もいる。南相馬市から東京・千葉方面に来たくても、6号線は東電の通行許可書無しには通れないし、常磐線も不通です。2ヶ所の駅舎が未だ復興していません。我々は会いたくても、行けないでいます。」

 「小浜、小沢などの海岸沿いの部落は、一見、一面砂浜のように何も無く、平らに見える。しかしそこにはいくつもの部落があり、農地でもありました。その砂の下には、コンクリートの電柱や、さまざまなものが埋まっています。それを掘り起こして農地にするには何年もかかり、簡単ではないと思う。防波堤も壊れたのにそのままで、3.11のあの日から手付かずでいるのだから。何一つ、復興していないのだから。」
  「寒いです。1月2月は凍結します。」
 
 以上が、新年になってお電話をいただいた被災者の皆さんの生の声です。国はどうして福島の方を放置するのでしょうね。 皆さま、私たちはパキスタンの16歳の少女、マララさんに倣いませんか? 福島の被災者をはじめ、日本国内のあらゆる不正を。そして声を上げることの出来ない方々の代弁者になりませんか? 

 

生活保護費の引き下げ  これでは生きていけない

 

石井知事に不服審査請求 川辺美沙子さん(仮名)インタビュー

 

  昨年8月、安倍政権は社会保障改革推進法を制定しました。「自助(自己責任)」を強調して、社会保障給付全体の切り下げを狙っています。その最初の標的になったのが生活保護制度。全ての社会保障の土台であるのに、当事者が声をあげにくく反対されにくい生活保護を狙い打ちにしています。11月1日、富山県内では4人が、石井知事に生活保護費引き下げに対する不服審査請求を行いました。請求人の川辺さんからお話を伺いました。

ー 不服審査請求をしようと思ったのはどうしてですか?
 私は65歳、夫と二人暮らしです。二人とも病気で働くことができません。私は1型糖尿病です。無自覚性低血糖発作で自覚症状がなく、突然意識を失うことがあります。10月は3回発作で倒れました。その恐怖と隣り合わせで生活しています。生活保護で医療と暮らしの保障がなければ生きていけません。
 昨年8月から居宅基準生活費が2人で106.020円から104.250円に減額となりました。冬期加算も減らされ、極寒でも暖房費を節約するしかありませんでした。買い物は近くのスーパーで、値引きとなる夜間のサービスタイムでしか買いません。読書が好きでも購入できません。図書館などを利用しますが、出かけるのも大変です。こんなぎりぎりの節約をしている状態なのに、今後3年間引き下げが続きます。納得できません。
 4人で不服審査請求を行いました。一人の男性は3度の食事を2度に減らして耐えていると訴え、子どもを抱えた身体障害を持つお母さんも、これからどうやって生きていけばいいのかと切実でした。生活保護は憲法第25条で定められた人間らしい生活を保障する制度です。それを認めず、生きていく権利を切り捨てるような引き下げはやめて欲しい。声を出さなくてはと思いました。


ー  審査は却下されました。今後はどうされますか?
  同じように全国で不服審査請求した人たちが原告団を作り裁判を起こします。私も原告のひとりとして加わって闘います。
 生活保護費削減の問題は当事者だけではない。生活保護基準と連動している最低賃金額は、基準が引き下げられれば給与所得が減少する。労働条件全体を悪化させることに繋がる。また、自治体の地方税の非課税の適用基準も生活保護基準に連動している。今後、就学援助や国民健康保険料の減免等を受けられない世帯が増えてくることは明らか。裁判を支援していきたい。

 

『東京新聞』

生活保護法改正 現場に寒風 支援団体を警察捜索 申請への圧力じわり
 困窮者と信じ、生活保護の申請に付き添った大阪の支援団体が昨年、家宅捜索を受けた。「制度見直しの一連の動きにつながっている」と支援者らはみる。昨年末、生活保護法が改正された。できる限り申請を受け付けない「水際作戦」強化で、本当に必要とする人が排除されないよう注視が必要だ。

投稿 それでも告発する  畑 真理子(略)

投稿 成立した「特定秘密保護法」とナチス・ドイツの「全権委任法」を考える  井上 淳(略) 

 

 

毎週水曜日12時~北陸電力前 ランチタイムアピールやってます!! 

支援物資・カンパ募集

福島の仮設住宅に支援物資を送ります。米・野菜や日常品、カンパ募集しています。

6月23日(金)12時から富山東別院会館前

企画の案内

おすすめの本

前田朗著「慰安婦問題の現在」

「朴裕河現象」と知識人 

 増田都子著

「昭和天皇は戦争を選んだ!」    

串崎浩著「田んぼの真ん中、はぐれ雲
 自立する若者たち」

青木泰著

「引き裂かれた『絆』」

小西誠著

「自衛隊この国営ブラック企業」

警察崩壊 つくられた“正義"の真実  原田宏二著