富山地裁判決 県に賠償命令、国への賠償請求は却下

2015.3.9

氷見冤罪で県に賠償命令 富山地裁、国への請求は棄却 2015/3/9 

 富山県氷見市で2002年に起きた強姦事件で再審無罪となった柳原浩さん(47)が、違法な捜査で逮捕、起訴され、約2年間の服役を強いられたとして、国や県に約1億400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、富山地裁は9日、県に約1966万円を支払うよう命じた。国への請求は退けた。

 阿多麻子裁判長は判決で「取り調べで虚偽の自白を作り出すなど、警察の捜査に違法性があった」と指摘。一方、検察官による起訴については「虚偽の自白と容易に認識できたとは認められず、合理的根拠に欠けていたとは言えない」との判断を示した。

 柳原さんの弁護団は「一部勝訴と言えるが、判決文を精査したい」と話している。

 判決によると、富山県警の捜査員は逮捕した柳原さんが事件の主要な部分を供述できないことを認識しながら、強い心理的圧迫を加え、虚偽の自白を作り出した。被害者の証言を過度に重視する余り「事件現場の足跡と同じサイズの靴を持っていない」という柳原さんの供述や柳原さん宅の家宅捜索結果を軽視した。

 県警の捜査について「警察官に認められた裁量を逸脱乱用しており、国家賠償法上、違法と言うべき」としている。

 また、県警の捜査で柳原さんが精神的苦痛を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだことも認めた。

 柳原さんは再審無罪が確定した後、「冤罪(えんざい)の原因を究明し、責任を追及したい」と09年5月に提訴。5年以上に及んだ国賠訴訟では口頭弁論が27回開かれ、証人として出廷した氷見署長(当時)が柳原さんに謝罪し、県警幹部(同)も捜査が不十分だったことを認めていた。

 弁護団によると、再審無罪事件で国家賠償を命じた判決は過去に2件あるが、いずれも控訴審で覆り、敗訴が確定している。〔共同〕


氷見冤罪 国賠訴訟あす判決 捜査の違法性 焦点 北陸中日新聞 2015/3/8


富山県氷見市の冤(えん)罪強姦(ごうかん)事件で再審無罪が確定した柳原浩さん(47)が、国や富山県などに約一億円を求めた国家賠償請求訴訟の判決が九日午前、富山地裁で言い渡される。二〇〇九年五月の提訴から約六年にわたる裁判は、警察や検察の捜査が適法だったのかが焦点となる。(豊田直也)

 県は、県警の捜査に落ち度があったことを認めるものの「取り調べなど捜査に違法性はない」と主張。国は「検察の判断に不合理な点はなかった」と訴える。

 原告側弁護団によると、再審事件の国賠訴訟はこれまで、少なくとも二件が一審段階で請求が認められたが、いずれも二審判決で覆り敗訴が確定。再審事件の国賠訴訟は捜査の不法行為の立証が厚い壁となる。

◆取り調べ

 柳原さんは、取り調べで捜査員から繰り返し誘導や脅しを受けたと証言。県は捜査員が机をたたいたり、柳原さんに母親の写真の前で真実を話すよう求めたりしたことは認めるが「自白を強要する目的ではない」と反論。国は、取り調べで誘導があったとの批判に、検察官が柳原さんに被害者供述との食い違いを指摘して「違うのではないか」と確認したと認めたが、供述の信用性を確かめるために必要だったと説明している。

◆無実証拠

 裁判では、柳原さんが事件当時に自宅にいたことを示す固定電話の通話履歴を県警が得ていたこと、現場の足跡が柳原さんの足の大きさとは異なることなど、柳原さんの無実をうかがわせる証拠の存在が明らかになった。原告側は、県警がこれらの証拠を無視したと追及する。

 足跡について県は「犯人が捜査をかく乱する目的で大きめの靴を履くことが考えられた」と指摘。通話履歴には、被害者と柳原さんのつながりを明らかにする目的で入手したため、柳原さんが自宅にいたことを示す証拠とは認識できなかったとしている。

 原告側はこのほか、柳原さんの車の中で被害者の目撃情報に似た靴を発見したとする捜査報告書などを県警が捏造(ねつぞう)したと主張。県はこれを否定している。

 氷見冤罪事件 元タクシー運転手柳原浩さん(47)が2002年、富山県氷見市での強姦(ごうかん)と同未遂で逮捕され、富山地裁高岡支部で懲役3年の実刑判決が確定した。約2年間服役後、真犯人が発覚。県警は07年1月に柳原さんの無実を発表。検察による再審で同年10月に無罪が確定し、柳原さんに刑事補償金1005万円が支払われた。

 http://biz-journal.jp/2015/03/post_9265.html 転載

やはり裁判所は権力の味方? 【氷見冤罪事件】でも国への賠償請求は棄却の「異常」

●冤罪賠償の高いハードル

 この事件では、タクシー運転手だった柳原浩さんが逮捕され、警察や検察で自白調書が作成された。富山地裁高岡支部では、懲役3年の実刑判決が言い渡された。服役を終えた後の07年1月、別の事件で逮捕されていた真犯人が犯行を自白。それを裏付ける証拠もあり、この年の10月、柳原さんは再審で無罪となった。

 その後、国から支払われた刑事補償金は約1000万円。刑事補償は、捜査などの不当性を認定して賠償を行うものではなく、身柄拘束されていたことによる不利益や精神的な苦痛などに応じ、1日当たり1000~1万2500円と決まっている。

 一方、国家賠償訴訟では、冤罪被害を受けた側が捜査の違法性を明らかにする必要がある。このため、請求はなかなか認められない。郵便不正事件で冤罪の被害を受けた厚生労働省事務次官の村木厚子さんが起こした国賠訴訟では、検察官への証人尋問を回避したい国が、3770万円の賠償を払うことを認めて訴訟を終わらせたが、これは異例中の異例。警察による証拠捏造が明らかになって死刑確定から再審で無罪になった松山事件でさえ、国賠は認められなかった。そのため、冤罪被害者の斉藤幸夫さん(故人)は、死刑台からは生還したものの刑事補償金は裁判のための借金返済で消え、28年も拘束されていたために無年金状態に置かれ、生活保護を受けながら苦しい生活を送らなければならなかった。

 このように、賠償が認められるハードルの高いことに加え、裁判には長い時間や費用、エネルギーが必要なことから、多くの冤罪被害者は国賠請求をあきらめているのが現状だ。

 そんな中、果敢に国賠請求に挑んだ柳原さんに対し、判決は警察の捜査に「強い心理的圧迫を加える取り調べ」を行うなどの違法性があったことは認めた。現場の足跡痕が柳原さんの靴のサイズとは合わないなどの消極的な証拠もあり、柳原さんが具体的犯行状況を説明できずにいたのに、捜査員は「自分の意図する答えが被疑者から返ってくるまで、同じようなかたちの質問を続けて確認を求める手法」などで取り調べを続け、詳細な自白調書を作成した点が問題とされた。 被疑者が警察官から誘導的な取り調べを受けていることを検察官が見抜くのは容易ではないから、特段の事情がない限り適法な取り調べを受けていると信頼するのは不合理ではない、と判決は言う。

 しかし、警察の捜査をチェックする視点を持たず、単に警察を信頼して警察調書を引き写すだけでよいというなら、検察官による取り調べなど要らないのではないか。なんのために刑事裁判では検察官の調書が警察官調書より信頼できるものと扱われるのか、裁判所はもっと考えてみるべきだ。

 現場に残された足跡痕から靴の種類は特定されたが、そのサイズは28センチで24.5センチの柳原さんとは合わないだけでなく、柳原さんは同種の靴を持っていなかった。これだけでも、検察は警察にDNA検査を指示するなど、柳原さんが本当に犯人なのか慎重に吟味する必要があっただろう。

 警察は、柳原さん宅の捜索でも靴がみつからなかったことから、靴は柳原さんが処分したと断定した。柳原さんは捜査員に誘導され、「捨てた」と認める調書に応じたが、警察がその場所を捜索しても出てこなかった。すると、捜査員から「燃やしたんだろ」と言われて「はい」と答え、自宅で燃やしたとする調書に変わった。このように、警察官調書に不自然な変遷があるのに、検察官は自白に疑問を持たなかった。

 それにもかかわらず、検察官の判断は「客観的に合理的根拠に欠けることが明らかであるとはいえない」とした。これは、検察に甘すぎる。

 冤罪は、国家権力を使って生まれる被害だ。警察や検察の権力行使や裁判所の判断に問題があれば、被害者を積極的に救済するようにしていくべきではないか。

 5月には、鹿児島県警が選挙違反事件をでっち上げ、13人が冤罪に巻き込まれた志布志事件での国賠裁判の判決が出る。警察に違法な捜査があったことはすでに明らかだが、検察官の責任について鹿児島地裁がどのような判断をするのか、注目したい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

氷見えん罪事件 結審のニュース KNBテレビなど


口頭弁論(富山地裁)

氷見えん罪事件の被害者、柳原浩さんが、国などに損害賠償を求めている裁判の口頭弁論が、6日、富山地方裁判所で開かれ、原告、被告の双方が最終準備書面を提出して裁判は結審しました。

判決は、来年3月9日に言い渡されます。

この裁判は、柳原浩さんが富山県警のずさんな捜査により強姦の罪などで逮捕されて有罪となり服役したとして、国や県、そして捜査を担当した取調官と検察官に対して損害賠償を求めているものです。

6日の27回目の口頭弁論で原告、被告の双方が最終準備書面を陳述しました。

原告側は、取調官が柳原さんの自白を強要する違法な取り調べをして虚偽の調書を作成したうえ、無実であることを示す数々の証拠を見逃した捜査本部に極めて重大な過失があるとしました。

また、検察官の誘導尋問による取り調べは明らかに違法であるなどと主張し、取調官、検察官の個人責任も問われるべきだと述べました。

一方、被告の国や県側は、柳原さんが否認を貫かずに自白したことを指摘し「責任はない」などと主張しています。

平成21年に始まった裁判は、6日で結審し、判決は来年3月9日に言い渡されます。

スタジオには、この裁判を取材している小丸記者です。

裁判の結審に合わせて原告の柳原さん側が裁判所に提出した最終準備書面は、どのような内容ですか。

この国家賠償請求訴訟が5年前に始まって、前回までに26回の口頭弁論が行われてきました。

その中で分かってきたことなどが最終準備書面に盛り込まれていますが、当初の表現と変わってきたところもあります。

柳原さんは、事件の犯行時間帯に自宅の一般電話から兄弟の家に電話していたことが分かっています。

こうした柳原さんが犯人でないことを裏付ける通話履歴について原告側は裁判を起こした段階では、警察の捜査は「通話明細を無視し、隠匿した」と表現していました。

一方、今回の準備書面では「アリバイ証拠であった通話記録を無視し見逃した捜査本部の過失は極めて重大である」として「通話履歴を無視した、見逃した」という表現にしています。

そのほかにはどんな変化がありますか?

DNA鑑定の結果については、当初の訴状の中では、「鑑定の結果をあえて無視した」「検察官も無視ないし隠匿した」としていました。

一方、今回の準備書面では「DNA型鑑定が実施された様子がない」、「捜査本部として重大な落ち度があると言わざるを得ない」と表現しています。

全体としてみると、「故意に隠した、故意に無視した」とする当初の表現を、見落とした、怠った」などと見直したところがあります。

当初の表現より弱くなったように感じますがどうして見直したのでしょうか。

裁判では、当時の捜査関係者への証人尋問で、通話履歴を故意に隠したという証言が得られず、開示された捜査資料からもDNA鑑定が行われた証拠が見当たらなかったためです。

原告側の表現の変化をみると、えん罪をめぐる裁判などで捜査側の問題点を立証するのがいかに難しいかが分かりますね。

はい、柳原さんの裁判でも、捜査資料が十分に開示されたとはいえません。

だからこそ、取り調べ段階での録画・録音といった可視化が必要だといえます。

原告側は、警察の執拗なまでの強引な取り調べで、自白を強いられたとする主張は、これまで通り維持しています。

判決は来年3月9日に言い渡されます。
 
 

氷見冤罪訴訟が結審 国賠請求 来年3月9日判決

ほかの冤罪被害者らとともに報告集会で発言する柳原浩さん(左)=6日夜、富山市内で

 富山県氷見市の冤罪(えんざい)事件の被害者の柳原浩さん(47)が、国や県などに約一億円の国家賠償を求めた裁判の第二十七回口頭弁論が六日、富山地裁であった。原告側代理人は「間違いの原因がどこにあったのか、徹底した解明なしには原告は救われない」と述べ、五年以上に及んだ訴訟が結審した。判決は来年三月九日。

 被告の国や県、取り調べ担当の警察官は、最終準備書面で「取り調べに違法はない」と主張したが、原告側は「やっていないことを自白し、調書に署名せざるをえなかった事実そのものが、警察や検察から圧力があった何よりの証拠」と批判した。

 この裁判で原告側は、虚偽の自白を強要した取り調べの違法性や、柳原さんが犯人でないことを示唆する通話履歴や血液型鑑定を見落とした過失などを指摘。県や国は「取り調べに違法性はない」「犯人性を明確に否定する証拠資料は収集されなかった」などと反論している。

 柳原さんは、二〇〇二年に発生した強姦(ごうかん)と強姦未遂の二事件で逮捕、起訴された。

 同年十一月、富山地裁高岡支部で懲役三年の実刑判決を受け服役したが、その後の再審で無罪となった。

声上げ続けなければ

柳原さん 富山で報告集会

 「虚偽の自白を取るまでの取り調べを裁判所がどう判断するかが大きな争点だ」。原告側の前田裕司弁護士は六日、弁論後に富山市内で開いた記者会見で強調した。

 五年にわたる裁判で、被告側が「脅迫するなどして自白を強要した事実はない」と反論する中、原告側は「わが国の冤罪(えんざい)の多くは、自白偏重が原因」として自白までの過程を明かすことを重視。全二十七回の弁論のうち十八回を捜査資料の開示に費やした。

 この日は報告集会も同市内で開かれ、柳原浩さんは「向こう(警察)は忘れても、やられたこっちは覚えている」と自白を迫られた苦痛を振り返った。集会には、自白を強要された足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さん、志布志事件の川畑幸夫さんが支援者として参加。桜井さんは「警察はうその自白をさせたことへの反省がない。冤罪になった人が声を上げ続けなければ変わらない」と語気を強めた。

 「国家の犯罪というべき冤罪の根絶を目指す歴史的道のりの一里塚となるべき裁判である」。この日の弁論で、原告側は最終準備書面の一部を読み上げた。賠償責任を問うだけの裁判でなく、被害者が訴えた苦痛と冤罪を絶やそうという思いにどんな答えが出るのか、判決が注目される。

 

中日新聞

動画 氷見えん罪事件 ニュース

2014年7月14日 ... 「陽炎 えん罪被害の闇」―氷見ひみ事件 NNNドキュメント「陽炎 えん罪被害の闇」 55分枠 放送時間 : 2014年7月13日(日)25:00~ ナレーター : あがた森魚 制作 : 北日本放送 「もう疲れたから、自殺するところを撮影してください」メールの ...

www.dailymotion.com/video/x21f74c_陽炎-えん罪被害の闇-氷見-ひみ-事件_news

 

 氷見えん罪事件 国賠訴訟 「2度と被害者をつくらないで」

(2014年04月21日 17時37分)

 氷見えん罪事件の国賠訴訟が富山地裁で開かれ、当時取調官を務めた検察官とえん罪被害者・柳原浩(やなぎはら・ひろし)さんの証人尋問が行われました。

 柳原さんは法廷で、「私のような、えん罪被害者を権力の犯罪で2度と作って欲しくない」と訴えました。

 この裁判は、2002年に当時の県警と地検のずさんな捜査で逮捕、服役までさせられたとして、えん罪被害者の柳原浩(やなぎはら・ひろし)さんが国と県を相手どりおよそ1億円の損害賠償などを求めたものです。

 21日は、25回目の口頭弁論が開かれ、午前中、当時、取調べを担当した検察官が証言に立ち、被害者の面通しによる信用性が問われました。

 また、現場に残っていた犯人が履いていたスニーカーの足跡が柳原さん足のサイズと明らかに異なることについても「シューズの特性から幅があったりつま先部分が厚くできていることから問題意識は無かった」と証言したほか、通話履歴による柳原さんのアリバイを警察と同様に確認していないことなど捜査のずさんさが改めて浮かび上がりました。

 午後からは、柳原さんの2回目となる証人尋問が行われ、誤認逮捕によって人生が狂い、精神的な病気など、現状に陥ってしまったことについて次のように述べました。

 次回の口頭弁論は、7月30日に行われます。

毎週水曜日12時~北陸電力前 ランチタイムアピールやってます!! 

支援物資・カンパ募集

福島の仮設住宅に支援物資を送ります。米・野菜や日常品、カンパ募集しています。

1月24日(火)午後1時から富山東別院会館前

企画の案内

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